視力回復ならどっちが良い?目の筋トレ「アイトレ」と目の手術「レーシック」
不同視(がちゃ目)の症状や原因、アンバランスな視力を改善する方法などを紹介していきます。
不同視とは、右目と左目の視力の差が大きい状態のこと。物が二重に見えたり、距離感や立体感がつかみにくくなるといった症状が現れます。
不同視になると、遠くを見る時には視力の良いほうの目を使い、近くを見る時には視力の低いほうの目を使うようになります。
すると、片方の目で物を見る状態が慢性的に続くため、負担がかかってしまうのです。
その結果、眼精疲労を誘発し、じきに肩こりや頭痛を引き起こす可能性が高くなります。
症状を悪化させないためには、早めに対処するのが大切です。
普段はテレビを斜め方向から見る、寝転がりながらスマホや本を見るなど、偏った姿勢で過ごす時間が長い人は注意が必要です。
不同視の場合、片目の視力は良いため、もう片方の目の視力低下に気がつかずに症状が進行してしまうことも多いようです。少しでも気になった時には、医師の診察を受けましょう。
「斜視になると不同視になりやすい」と言われているのは、斜視になると適切に目を使うことができないため、視力が発達せず、不同視弱視になりやすいとされるからです。
ですが、不同視と斜視の発症には関連性が薄いとする研究結果もあり、その関連性ははっきりと解明されていません。
斜視とは、両方の目の視線が合わなくなることで、片方の目は正面を向いているのに、もう片方の目だけが極端に内側を向いている、外側を向いているなどの状態になることです。
それほど珍しい疾患ではなく、生後2~3か月までは筋肉の未発達によってほとんどの子供に斜視が見られ、その後の発症も人口の約3%という統計があります。
斜視を発症する原因は様々ですが、その多くは眼球を動かすための筋肉や神経に異常があるか、遠視が存在することだとされます。
ですが、その他の眼疾患や脳疾患が原因となっている可能性もあるので、場合によってはMRIなどの全身検査を行うこともあります。
不同視と斜視の関係性については様々な研究がされていますが、こちらでは、遠視性不同視弱視と斜視の関係性について調べた結果をご紹介します。
この研究は遠視性不同視がみられる幼児27名を対象にして行われましたが、その中で斜視が見受けられたのは僅か7名だけだったそうです。
ただし、不同視のある幼児を一元的に見ることはできず、遠視の度合いが強い不同視を持っている子供では、斜視を併発している確率が高くなるとされています。
なお,遠視性不同視で遠視度の強い眼が弱視である場合の不同視差を0.5D以上とすると,不同視弱視と斜視の合併数はかなり多くなるが,非斜視の方が多いという事実をくつがえすには至らない.
つまり、片方の視力の低下が重度であれば斜視と不同視を併発しやすいと考えられますが、必ずしも合併するとは言えないという結果になりました。
不同視と斜視が合併しないケースもありますが、万が一合併した場合、その後の視力がさらに上がりにくくなるという報告もあります。
特に、不同視が起きた後に斜視を発症した場合よりも、内斜視が起きた後に不同視を発症した場合の方が、弱視の程度が高くなるとされています。
ですが、どちらの場合でも視力低下に影響があることに変わりはありません。弱視となるほどの視力低下を未然に防ぐためには、遠視、近視、乱視などの屈折異常を、できるだけ早めに治療することが大切です[1]。
不同視になる原因は、片方の目が屈折異常を起こしているからです。屈折異常というとイメージしにくいですが、近視、遠視、乱視などの目の異常のことを屈折異常と呼んでいます。
片方の目にこれらの屈折異常が強く現れて、もう片方の目に弱めに現れた場合、近視、遠視、乱視などの度数が左右で異なる状態になります。この、「屈折異常の程度が左右で異なること」が不同視になる根本的な原因です。
屈折異常には近視、遠視、乱視の3種類がありますが、この中で最も不同視になる確率が高いのは、「遠視」だとされています。遠視が不同視になりやすい理由は、遠視の目が、「遠くも近くも見えにくい目」だからです。
例えば、近視の場合は近くが見やすくて、遠くが見にくいので、次のような目の使い方をします。
つまり、近視で左右の度数差が表れたとしても、どちらの目も使われる機会があるので、両眼とも視力は発達します。
それに対して、遠視で左右の度数差が表れた場合は、次のような目の使い方になるのです。
近くも遠くもピントが合いにくい遠視では、近くも遠くも、遠視が弱い方の目でしか見ることができません。そのため、遠視が強い方の目を使う機会は失われ、片目だけ視力が発達しなくなります。
遠視では無意識に片方の目を使わなくなるため、視力が発達しなくなるとご紹介しました。子供は、物を見ることによって急速に視神経を発達させるため、幼少期に目に異常があった場合は、視力の発達が止まったままになってしまうのです。
子供の視力は生後1か月半から始まり、1歳半くらいをピークとして、5歳くらいでほぼ視力が完成します。そして、8歳くらいで視力の発達はストップすると言われています[2]。
つまり、この時期に正常に目を使っていることが、その後の視力に大きな影響を与えます。
幼少期に習得する目の機能は次のようになっており、目の屈折異常があった場合、これらの機能の発達が妨げられることとなります。
これらの項目を見てみると、不同視の症状と一致する部分がとても多いことがわかります。
不同視は、「片目に屈折異常があること」「屈折異常で片目を使わなくなること」「目を使わないことで視力が発達しないこと」の3つの要素から成り立っているのです。
片方の視力が低い不同視は、いったい体にどのような影響を与えるのでしょうか。考えられる影響をご紹介します。
不同視では眼鏡で矯正している場合も多いと思いますが、眼鏡をかけていたとしても、不同視でない人よりも目が疲れやすい状態になります。
これは、眼鏡のレンズによるプリズム誤差が原因で、レンズの中央部分以外のところで物を見た場合、光の屈折率が左右によってあまりに異なるため、眼が疲れてしまうからです。
左右の屈折異常の度数が同じ程度であれば、どちらの目にも同じ程度のプリズム作用が生じるので、極端に目が疲れることはありません。ですが、不同視ではプリズム作用の起こり方に違いがあるため、非常に目が疲れやすくなります。
プリズム誤差によって目に疲れが蓄積されると、頭痛や肩こり、めまいなどの症状が現れてきます。
脳の情報処理の約半分は視覚情報に使用されていると言われるので、視神経に負担がかかる、視界から入ってくる情報が多くなるなどの要因で、頭痛が発生しやすくなります。
また、目が疲れるということは、目の周りの筋肉が疲れているということでもあり、目の筋肉の疲れは肩の筋肉にも影響を与えます。目が疲れると肩こりがするというのは、目の筋肉のコリが方の筋肉に影響を与えているからです。
そして、目の疲れによってめまいが起きるということは、視覚情報を処理している脳が疲れているということ。不同視の目の疲れは、体全体に影響を及ぼす可能性があります。
目の機能が発達しないことで、遠近感や立体感がうまく掴めなくなるということは、物にぶつかりやすい、転倒しやすい、などの状況を招きます。
特に子供は、不同視でなくとも、ぶつかる、転ぶ、などのことを日常的に経験します。不同視によってさらにこれらの事故が起きやすくなるので、ともすると、骨折などの大けがに発展する可能性もあるでしょう。
[1]参考:公益社団法人 日本視能訓練士協会『(PDF)弱視と屈折異常の関わり-不同視を中心に-』
[2]参考:日本眼科学会『弱視』
左右の視力にアンバランスさが現れる不同視ですが、本人は視界に違和感がないため、自分ではなかなか気づかないものです。
定期的な健康診断で視力検査を行っている人なら知ることができますが、健康診断を行っていない自営業の人などは、自分が不同視かどうか気になるでしょう。
以下に、不同視かどうかを調べる簡単なチェック方法を記載しています。
1と2で左右の目の見え方が大きく変わったと感じたなら、左右の視力が異なっている可能性があります。
大人の場合、左右の視力が極端に異なっていると、白内障や視神経炎・眼内炎などの目の病気にかかっている可能性があります。いつのまにか急激に片目の視力が落ちている、または視野に欠損が見られる場合、速やかに眼科へ診察を受けましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんの場合、視力は0.01ほどしかありませんが、3歳から5歳の間で視力は急激に成長します。
しかし、生まれつき弱視の子どもはこうした視力の成長が遅れてしまい、強度の遠視や乱視・斜視などの症状が現れやすくなるのです。症状が重度となると、将来的に日常生活を送るにも問題が生じるようになり、車の免許を取ることも難しくなる場合があります。
こうした問題を回避するには、症状の早期発見と治療が不可欠です。3歳児健診によって視力検査を受けさせることで、早期で子どもの弱視がわかります。
以上のような行動や様子が1つでも当てはまれば、視力に異常があるサインかもしれません。念のため眼科で相談しておきましょう。
弱視の治療に効果的なのが、治療用の眼鏡を着用させることです。
子どもの視力を上げるには、視点にピントを合わせて鮮明に物を見る力を育てなければなりません。子どもの弱視には、この「ピントを合わせる」という脳の発達が遅れていることが挙げられます。
そこで、治療用の眼鏡を付けることで、補強された視力によって自然とピントを合わせる力が身につけることができます。
「眼鏡をかけると視力がどんどん落ちる」という話を聞いたことがある人もいるでしょうが、こうした話は一部異なったものです。
眼鏡をかけていて視力が落ちるのは、目に負担をかける眼鏡の使い方をしている場合です。視力に合っていない眼鏡をつけていると、目が必要以上に疲れてしまうため、視力が落ちてしまうことがあります。
また、近眼用の眼鏡で近くを見続けた場合や、遠視用の眼鏡で遠くを見続けた場合も、目に余計な負担を与えてしまうことにつながるため、視力が悪くなってしまうのです。
専門の眼鏡店で現在の視力に合った眼鏡を作ってもらうことや、眼科で治療用眼鏡の正しい使用方法を教わることで、眼鏡による視力の衰えを回避することができるでしょう。
不同視の予防・改善のために、症状を進行させる生活習慣を改め、毎日の生活を正しい姿勢で過ごしましょう。
また、視力差を改善するためには、両目をバランス良く使うトレーニングがおすすめです。
ここで紹介するのが「遠近トレーニング」。普段よく使う癖のある目と逆の目を使うことで、なまってしまった視界機能に働きかけます。
交互に近くと遠くを見ることで、目のピントをあわせる毛様体筋を鍛えるトレーニング。
目の前に出した人差し指と、その先にある遠くの目標物を1秒おきに交互に見ます。近くと遠くを1セットとすると、1日20セット行うと良いでしょう。
視力が良いほうの目を眼帯などで覆って、追加で2分程トレーニングすると、不同視の改善にもつながります。
遠近トレーニングは毎日続けることが重要なので、根気よくトレーニングを行い、左右の視力の差を縮めていきましょう。
不同視の改善は簡単なトレーニングで改善させることができます。
両目の視力が極端にアンバランスだと、目に大きな負担がかかるほか、姿勢も気づかない内に不自然な体勢になってしまうため、肩こりなどの症状に悩まされるようになります。
不同視を改善することは、視力の向上を図ると同時に生活の質自体を上げることにつながるのです。
コンタクトレンズは、一般的に不同視に対して高い矯正効果があるとされています。コンタクトレンズは角膜とほぼ接着している状態なので、目とレンズとの距離が離れることで起きる「不等像視」が起こらないのです。
この不等像視とは、左右の目で見た物の大きさが異なることで、融像(両目でみた視界)が二重に見えたり、立体が平面に見えたりする状態です。
眼鏡で不同視を矯正する場合、左右の視力に合わせた度数の異なる眼鏡を使用します。しかし、そのような眼鏡は物のピントを合わせることができても、物が見える大きさを同じにすることは難しいのです。
レンズと目との距離が離れているため、目に届くまでの間に光の屈折の度合いが左右で異なってしまい、こうした目で見た像の大きさが異なる現象が起きてしまいます。
コンタクトレンズは眼鏡とは違い、ほぼ目とレンズの間がほぼゼロ距離であるため、不同視の人を悩ませる不等像視が起こりにくいといえます。
眼鏡で不同視の矯正を行う場合、不等像視のほかにも「上下プリズム誤差」にも注意しなければなりません。
強度の不同視の人で不等像視や上下プリズム誤差が生じている場合、実生活で見えづらさによるトラブルや、肩こりなどの症状に悩まされるようになります。
上下プリズム誤差とは、眼鏡の左右のレンズで度数が異なる場合、光の屈折率の違いによって物が二重に見えるようになる問題です。
不等像視は物全体の大きさの見え方がズレることですが、上下プリズム誤差は光の屈折による物の位置がズレて見えることです。
上下プリズム誤差が生じる原因は、不等像視のようなレンズの屈折率によるズレではありません。不同視の人の多くに現れる「斜位」のズレが原因なのです。
●斜位とは
斜位とは、いわゆる「隠れ斜視」とも呼ばれる症状のことです。
斜位はよく斜視(がちゃ目)と混同されやすいですが、実際には斜視のように明確な視線のズレは発生していません。ただし、片方の目を覆うと、斜視のように片方の黒目がズレて動いてしまうのです。
斜視とは違い、斜位は日常生活で不便を強いられることはありません。しかし、両目で物を見る際に、片方の目に負担を強いてしまうため、眼精疲労が起きやすいという問題があります。
人の目は物を見ていない時、自然と楽な場所へと動く働きがあるため、斜位によってズレた位置がその目にとって最も楽な位置だといえます。
両目で何かを見る時、斜位が起きている目は正常な目の動きに合わせて無理に動くので、大きな負担をかけられてしまうのです。
●斜位と上下プリズム誤差
不同視が起きている人の多くに、この斜位による問題が発生しています。斜位は、見た目は両目とも正常に見られますが、眼位(黒目の位置)に微妙なズレがあるため、眼鏡をかけた際に見え方のズレが発生してしまいます。これをプリズム誤差と呼ぶのです。
水平方向のプリズム誤差は、眼球の移動により目が自然に調整してくれます。しかし垂直、つまり上下方向のプリズム誤差の調整は調整が難しいため、上下プリズム誤差が起きた眼鏡は見えづらさが現れるのです。
ここまで不同視矯正には眼鏡は不向きであると記述しましたが、決してコンタクトレンズでなければ不同視の矯正は行えないというわけではありません。
人によって眼軸の長さやプリズム誤差への適応性などは異なるため、眼鏡でも十分に矯正を行うことは可能なのです。
ただし、不同視矯正は眼科医の診断結果だけでなく、「認定眼鏡士」と呼ばれる眼鏡のフィッティングのエキスパートに適切な眼鏡を選んでもらうことが不可欠です。
矯正のために眼鏡を購入する場合、必ずこの認定眼鏡士が働く店で買い求めるようにしましょう。
レンズとの距離を調整することで、レンズ光学の位置調整やレンズのピント位置を調整できるため、不等像視や上下プリズム誤差を改善できます。
「フロント部の天地中央の鼻幅が20mm以上」「枠のフロント部の上下幅が狭め」「クリングスがU字型のフレーム」の3つに合致したフレームが最適です。
「レンズ光学中心」とは、簡単にいえばレンズを通った光が収束するポイントのことです。
目の位置とこのレンズ光学中心が一直線に交われば、弱視の人でも物をはっきりと見ることができます。左右のレンズの光学中心を調整することで、視力に合わせた矯正が行えます。
不同視は放置すると、視力の良い目ばかりを使うようになるため、使わない目の視力がどんどん悪くなってしまいます。これを「不同視弱視」といい、視力低下のほか、ひどい眼精疲労や肩こり、立体視の不良など日常生活でも支障が出るレベルへと進行します。
特に注意が必要なのが、「間歇性斜視」(かんけつせいしゃし)と呼ばれる症状です。この症状は、目が披露している時など、限定的な状況で斜視が起こります。
間歇性斜視は加齢や怪我により、本格的な斜視に移行しやすいため、リスク回避のために早めの治療が必要なのです。
不同視弱視や斜視といったリスクを避けるには、眼科での受診が重要です。眼科で処方箋をもらい、眼鏡店へ行けば、本人の不同視レベルに対応した眼鏡を作ってもらえます。
重度の斜位またはや斜視の症状がある場合、治療用眼鏡であるプリズム眼鏡を作ってもらうと良いでしょう。
これまであえて不同視(がちゃ目)と表記してきましたが、これはあまり正しくない表記といえます。
「がちゃ目」は、俗語として不同視と斜視の両方を指していますが、実際には「斜視」に対する意味合いが強い単語です。「不同視」ががちゃ目を意味する「斜視」と混同されやすい理由は、不同視という単語から「視線の不同」を連想しやすいからでしょう。
また、不同視同様に間違われやすい「斜視」と「斜位」を混同している人が多いことも理由の1つです。
斜視は人から見て黒目の位置が明らかにズレている状態を意味しますが、斜位は目を開けている状態ですと黒目のズレは見られません。特に斜位と間違われやすい「間欠性斜視」は、治療を放置すると斜視になるリスクが高くなるため、その危機感から斜位=斜視と間違えやすいのでしょう。
斜位は日本人の多くに見られる症状であり、そのままでも視力に問題がない人も多いため、眼科では特に治療の必要はない症状として扱われます。
また、不同視も軽度であれば眼鏡やコンタクトレンズの使用で改善ができるため、不同視だと診断されたとしても慌てる必要はないでしょう。
ただし、重度の不同視や斜視が見られる場合、弱視や眼精疲労などにより生活に難が現れるため、きちんとした治療を受ける必要があります。
最近視力が落ちてきたと感じている人、または慢性的な疲れ目や頭痛に悩まされている人は、不同視弱視や間欠性斜視の問題が潜んでいる可能性があります。一度眼科での診察を受けるといいでしょう。